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「封印の娘 大江戸妖怪かわら版3」 著:香月日輪
大江戸妖怪かわら版の第3作目です。
今回はタイトル通りに封印されている子にまつわるお話。
タイトル見たかぎりでは雀が一体どんな騒動を起こしてくれるのかと思いましたが、騒動に巻き込まれるほうでした。
これからちょこちょこと出番のある、準レギュラーになる封印の娘こと、雪消さんの初登場なお話。
この雪消さんがあっさりさっぱりしていて、とても胸のすくお姉さんですぐに大好きになりました。
好奇心旺盛で男前なのだけれど、甘い物が大好きだったりと女の子らしさも忘れない、可愛らしい人です。
人喰いという性を持っているために封印されている座敷から出られないのですが、ここが私の生きる世界だ、と悲観することも捻くれることもなく、穏やかに日々を送っている雪消さんのとても普通な当たり前なこととして受け入れている考えが素晴らしいな、美しいな、と思わせてくれます。
人喰いという性を持つ、先祖返りした白鬼だとわかる男の子を食べてしまう出来事があるのですが、その時も雪消さん本人、両親、そして食べられてしまった子の親も、
そうか、白鬼ならば仕方がない、という考え方もそっか、世界が違うとこういう考え方も生まれてくるのだな、と思わされました。
大江戸妖怪かわら版は人間とは考え方が基本は同じだけれど、やっぱりどこかが違う、というのが普段雀が普通に生活していても違う世界にいるのだな、と思わせてくれます。
そして、雀の過去もちょっとだけ出てきます。
一体雀は現代で何をしていたのでしょう、ちょっとした不良グループにいたくらいでは済まなそうな修羅場を潜っているみたいです。
私の印象では雀は小学校高学年~中学生くらい、だと思っているのですけれど、この話を踏まえるともっと年齢が上なのかもしれないなぁ。
現代で子供っぽい時代を送っていなかった反動か、段々と大江戸で子供っぽくなっていく雀を見ているからそう思えるのかもしれませんけど。
雪消さんの、ここが私の居ていい世界、というような台詞がなんだかグッとくる封印の娘でした。
「数えずの井戸」 著:京極夏彦
番町皿屋敷を京極さんなりに解釈した、もうひとつの物語。
何かが欠けている、足りない、欲しい・・・見たままが全てなのです。
それぞれに違和感を感じながらも日々を過ごしている若者たちの葛藤です。
葛藤というよりはずっとジリジリしている感じですかね。
何かの拍子で日常が崩れた時、その違和感がどうなるのか・・・。
なんと言うか、色々考えすぎていてみんなの気持ちが分かりません。
一番わかりやすかったのは「欲しい」という吉羅さまと、漠然としたモヤモヤと苛立ちを抱えている主膳ですね。
「手に入る物は何が何でも手に入れる、手に入れられない物など欲しない」という吉羅さまの考え方がビシッと一本筋が通っていて惚れ惚れするくらいカッコいいです。
何だか煮え切らない人が多いこの井戸には貴重とも言えるくらいはっきりとわかりやすいですね。
恋する乙女でもあった吉羅さまがとても可愛らしくもありました。
まあ、そんな様子は見せずにツンツンしてばかりでしたけどね。
どうしようもない主膳ですけど、抱えているモヤモヤいらいらは何だかわかるのですよねぇ。
だからと言って無意味な行動を取る意味はわかりませんけど。
又さんと徳次郎さんが出てきました!
徳次郎さんが出てくるとは・・・小平次さんでは「いけすかないヤツ」って思っていたのに、月日は流れているんですね。
又さんがヘマをやったと、辛そうにしたって、このちょっとでも前巷説のことを思い出させてくれる仕草がたまりません。
ええ、山崎さん・・・・・・。
直接は関わらない二人ですけど、事の始まりと終わりに立ち会いました。
結局どうなったのさ、というもやっと感は残るので(肝心な所が書かれていない)好き嫌いが別れそうなお話です。
私は好きです。井戸らしい最後だな、と思います。
色々語り継がれている皿屋敷、あなたはどう取りますか、どう思いますか、あなたの思うように考えてお話を作ってくださいと問い掛けられているお話です。
「お鳥見女房 巣立ち」 著:諸田玲子
鷹姫さまを相変わらずぬかしたままなのですが、一番遠くの公民館にいるので戻ってくるのを待つことにして、巣立ちを読みました。
子供たちは皆、所帯を持ちタイトル通りに巣立ちとなっていますが、巣立ちと共に悲しい別れが・・・・・・。
まさかまさかの、久右衛門さんとのお別れです。
ずうっと元気でいてくれるものだと思っていた、一家の大きな大きな大黒柱が静かに役目を終えて次代へと託します。
悲しくて寂しいのだけれど、お鳥見役としての最後の役目を見事に果たし、達成感に溢れ満足して旅立っていかれたのが久右衛門さんらしくて・・・・・・。
いつもずっしりと一家を支え、見守っていた人がいなくなってしまいましたが、その役目はきっと伴之助さんがしっかり引き継いでくれることでしょう。
君江と隼人さんの出番はちょこっとだけなのは寂しいのですが、君江はなにやらご懐妊の様子。
お鳥見女房シリーズが再開されたとのことなので、次の新刊では可愛いお子が出てくるのかと思うと楽しみでなりません。
久太郎と恵以、久之助と綾、どれもほのぼのカップルなのですけど、やっぱり気弱でなにかと気にしいな君江が可愛いなぁ、とひいき目で見てしまいます。
秋ちゃんの成長っぷりに一番驚かされました。
いっつも兄妹一括りにされていたのに、それぞれ個性を持ち大人として歩き出している中、秋ちゃんがしっかり喋っている上にお供まで連れてこれるようになるなんて・・・大きくなったなぁ。
「時空忍者おとめ組!」全4巻 著:越水利江子
タイトルがとても興味深いです、そして絵が可愛い。
戦国舞台な事もあり、手に取った児童書です。
児童書なのでとてもサクサク読み進められますので、全4巻などあっという間でした。
字が大きいし、ふり仮名も豊富にふってあって読みやすいですねぇ。
まあ、児童書だから当たり前なのですが、ちょっと児童書なんて久し振り過ぎて逆に感動してしまいましたよ。
さて、お話の内容は3人の小学生女の子が激動の戦国時代に飛ばされて、そこで伊賀の忍者に助けられたり、信長に謁見したり、最終的には本能寺の変に巻き込まれてしまうハラハラドキドキな展開です。
作者さんはとてもこの時代のことを勉強なさっていて、忍術の九印も安土城のことも調べ上げられていて、児童書だと甘く見ていましたが、逆に勉強になりました。
信長と会うけれど、一線引いた関係なのが良いと思いました。
もう、打ち解けちゃったりとかしてしまうのかと思いましたが、あくまでも雲の上の人というのが良いです。
乱と信長が仲良し、なのは良いのですが、挿絵だけで見ると何となくBLな香りがただようのは気のせいでしょうか・・・・・・。
そして、七丸が可愛いです。
一生懸命ちょこまかしているけれど、ひょんなことで薫子を妻としてからの七丸は何だかちょっぴり頼もしく見えました。
そして、最後の霧生丸からの伝言って、プロポーズですよね。
七丸ってばもう、男前ですわ。
飛び忍組では、飛也はだんとつ男前です。
鎖でがんじがらめになっているというのに、知り合って間もない美香を庇おうとしたり、ちょこっと寂しがりやなところを見せたり、さり気なく何だかんだと手を貸してくれる、見所満載ないい男です。そして、猿回しなところがチャームポイント。
霧生丸もね、子供らしい素直になれないところが可愛いですね。
火影と時蔵さんのお互いの呼び合い方が好きです。
がむしゃらな竜胆に雑学豊富な美香、お嬢様で恐れ知らずな薫子、なんとも個性的な面々のおとめ組です。
それぞれのほのかな想いが可愛らしくあったのですが、想っているだけでくっ付いたりしないところが時代を超えているという感じがします。単に恋にまで発展するほどの時間がなかった、というのもあるかもしれませんけどね。
でも、偏見で申し訳ないですが、児童書ですからやっぱりすんなりとくっ付いたりしがちだな、と思っていたので中々シビアだな、と思いました。
何度も児童書だと書きましたが、とても読みごたえのあるお話でした。
「狐狸の恋」 著:諸田玲子
久太郎、久之助のそれぞれの恋模様が進展して、納まるところに納まったお話ですね。
君江の隼人の妻として奮闘するお話も入っています。もちろん、私はこのお話「日盛りの道」がお気に入りです。
君江と隼人のことが気になっていたら、知らず好きになっていました。
あれ、君江と隼人が夫婦になっている・・・・・・。
じれったいのは長続きはしないだろうと思っていたのですが、お早い展開ですね!
読み終わってから、一つ前の「鷹姫さま」を飛ばしていたことに気が付きました。
君江と隼人のじれったさはまだ、期待できるということですね!
そうそう、お嫁入りの話も期待できるということではないですか!楽しみです。
「日盛りの道」では仕事の重圧に押しつぶされそうになっている隼人はついつい、君江にそっけない態度を取ってしまい、その態度に何か粗相をしたのだと落ち込む君江。
全てが分かってから、改めて読み返すと、何とも可愛いお話だったことに気が付きます。
誤解も解け、隼人の妻としての心構えも改めて固め、一回り成長した君江。段々と逞しくなってゆくのでしょうねぇ。
最後には隼人とラブラブでした。
君江は隼人を尻に敷くタイプではなくて、一歩後ろに控えているけれど何かあったらそっと、背中を押す良いお嫁さんになりますよ。ゆくゆくは珠世さんのようになりそうだけど、あれこれ気転が利くようになるようになまでは、まだまだですね。
隼人と久之助との「義兄か」「義弟か」という、何とも照れ臭そうなやり取りが可愛かったです。
隼人はちょこちょこ頼まれ事があったりして出番があるのですが、菅沼家にいる君江には中々出番がないのが寂しいところです。
・源太郎と源次郎が下屋敷に移り、道場に通うようになって、すっかり大人びました。
娘3人もしっかりと喋るようになって、子供の成長とは何とも早いものです。
秋ちゃんのお供を連れて矢島家にやって来た時はビックリしました。
・久太郎が中々に積極的(にならざる状況ですが)で驚きです。
おっとり判之助さんタイプでしたからね。恵以姫様も凛として愛らしい子です。
・久右衛門と久之助がノリノリで屋敷に乗り込むのが好きです。